EUのUSB-C®新法とその充電器・機器への影響

EUのUSB-C®法の対象デバイスは？

欧州連合（EU）¹理事会に承認されたCommon Charger Directive（共通充電器指令） 2022/2380によれば、すべての充電機能を持つ機器は、EU地域で販売する際にUSB-C®ポートを搭載する必要があります。この規定は2024年12月28日²から施行され、以下のような「中小型」携帯電子機器メーカーに適用されます：

デジタルカメラ、ビデオゲーム機
ヘッドホン、イヤホン、ポータブルスピーカー
携帯電話
ポータブル・ナビゲーション・システム
タブレットおよび電子書籍リーダー
ワイヤレスマウス、キーボード

ノートパソコンは「最大100Wの電力供給」を必要とするため、現時点では対象外ですが、この指令への準拠は2026年4月³以降に義務化される予定です。USB-C®のような小型コネクターで高電圧と電流を供給することには懸念もありますが、最新のUSB PD 3.1プロトコルは、受信デバイスのニーズに応じて電圧と電流を0～240Wの範囲で調整できるため、安全性が確保されています。

共通充電器指令2022/2380の対象国は？

EU と欧州経済領域（EEA）

この指令の影響を受けるのは、EU加盟国の合計27ヵ国です⁴。た、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーの欧州経済領域（EEA）3ヵ国もEUの域内市場の一部として影響を受けます⁵。

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インド

共通充電器指令は、他の地域にも統一充電規格の採用を促しています。たとえば、インドでは2025年3月までに国内市場で流通するすべての電子機器にUSB-C®の搭載が義務付けられていますが、フィーチャーフォン、ウェアラブル端末、聴覚デバイスについては例外とする方向で議論が進められています⁶。

台湾

台湾の国家通信委員会（NCC）も、EUに倣って規制の見直しを進めています。NCCは、2024年6月に移動通信端末機器の技術仕様の改正を提案し、同年12月にその変更を発表する予定です⁷。

カリフォルニア

カリフォルニア州は、USB-C®充電を義務付ける初の米国州になると見込まれています。2023年4月13日、サクラメントのカリフォルニア州議会プライバシー・消費者保護委員会は、ノートパソコンや携帯電話などを含む法案「AB 1659 (2023)」を全会一致で可決しました⁸。世界中で統一充電規格の導入が進む中、取引効率化と電子廃棄物削減を目指して、USB-C®規格は今後も広がるでしょう。

USB-C®共通充電器指令が実施された理由は？

電子廃棄物の削減

欧州委員会は2021年9月23日に、早くも共通のワイヤレス充電規格に関する提案を発表しました。この発表は、消費者が年間24億ユーロを単体の充電器に費やしていることを明らかにした2020年の衝撃的な報告に続き行われた。2020年には、EU内で4億2,000万台の電子機器が購入され、1万1,000トンの電子廃棄物の発生に繋がりました。その上、消費者は平均して3つの充電器のうち2つしか定期的に使用せず、38%が互換性に関する充電問題を経験していることが分かりました⁹。

ケーブル管理をシンプルに

この指令に基づいて、販売業者は電子機器のパッケージに新しい充電器が含まれているかどうか、およびその充電機能を示すピクトグラムを表示しなければなりません。消費者は、この新しい裁定により年間2億5,000万ユーロの節約が予測されています。不要な充電器の購入が減少し、さらに生産、輸送、廃棄の各段階でも廃棄物の削減が期待されています¹⁰。

USB-C®コネクター自体も、統一された両面インターフェースによりケーブル管理の簡素化されるでしょう。USB-C®ケーブルのデザインにより、どちらの方向でも差し込むことができ、データ転送、オーディオ出力、ビデオ出力など複数の機能をサポートします。この開発は、2022年1月26日に交渉が開始されてから半年も経たないうちに全会一致で合意され、2022年6月29日にはEU加盟国すべての代表によって承認されました。

充電速度はUSB-C®義務化によって制限されるのか？

充電ケーブルの物理的な形状を始め、改正された2022/2380共通充電指令¹²では、ブランドが他の充電器やデバイスで充電速度を制限するのを防ぐために、すべての急速充電器の充電速度も統一することが求められています。

したがって、エンジニアや開発者は、USB Power Deliveryのフル機能に必要な追加充電プロトコルをデバイスに組み込む必要があります。例えば、最大15Wのデバイスは、無線機器をサポートされていなければならない同時に、さらに以下のUSB-C®レセプタクルで利用可能な電源オプションも少なくとも一つ備えていなければなりません、

USB 2.0
USB 3.2
USB 4
USB BC 1.2
USB Type-C 電流 (1.5A と 3.0A)
USB PD

EUのUSB-C®法はワイヤレス充電を普及させるか？

2024年末までのワイヤレス充電規制見通し

EUは発表の中で、ワイヤレス充電の普及が進んでいることも一応認めました。欧州委員会は、消費者が単一のメーカーに依存するようになるリスクを認識し、2024年末までにワイヤレス充電に関する相互運用性要件を調和させることを約束しました¹³。

MagsafeもUSB-C®も搭載された新製品

しかし、執筆時点では、共通充電指令は有線充電ソリューションのみに適用されるため、メーカーワイヤレス充電しか搭載しないデバイスでこの義務を技術的に回避することができます。それでも、iPhone 15やiPhone 15 Plusなどの新しく発売されたスマートフォンには、USB-C®ポートとMagSafeワイヤレス充電規格の両方が搭載されるようになりました。

MagSafeワイヤレス充電器は、内蔵の磁気リングによって携帯電話とトランスミッターを最適な充電位置に固定します。Qi2ワイヤレス充電は、MagSafe由来のマグネティック・パワー・プロファイル（MPP）を基にしており、最大15Wのワイヤレス充電速度をサポートしながら、MagSafeとの互換性も保持することが期待されています。世界の電子機器市場がワイヤレスの未来へ進む中、ワイヤレス充電規格間の相互運用性は、消費者の混乱や過剰な電子廃棄物を防ぐ重要な要素となります。

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参考資料

Council of the European Union. 24 Oct 2022. Common charger: EU ministers give final approval to one-size-fits-all charging port.
Kris Holt. 8 Dec 2022. EU sets December 2024 deadline for USB-C wired charging on new phones. En Gadget.
Jon porter. 8 Dec 2022. EU sets December 28th, 2024, deadline for all new phones to use USB-C for wired charging. The Verge.
Gov.uk. Countries in the EU and EEA.
EFTA. Frequently asked questions on EFTA, the EEA, EFTA membership and Brexit.
FE Tech Desk. 2 Jan 2023. India to exempt these devices from USB Type-C rule. Financial Express.
Ting Yi. 18 Dec 2023. USB-C to be mandatory for phones, NCC plan shows. Taipei Times.
Max Bailon. 10 May 2023. Universal USB-C Standard Mandated by California for All Devices. The Arias Journal.
European Commission. 23 Sep 2021. Commission proposes a common charging solution for electronic devices — Questions and Answers.
European Commission. 23 Sep 2021. Pulling the plug on consumer frustration and e-waste: Commission proposes a common charger for electronic devices.
Innergie. Why can the USB-C interface charge both laptops and smartphones as the EU mandates a standardized charging specification?
Qima. January 2023 Regulatory Update.
European Parliament. 4 Oct 2022. Long-awaited common charger for mobile devices will be a reality in 2024.