USB PD(Power Delivery)の効果的なデバッグ方法にはいったいどんな手段が有効なのでしょうか?
こんにちは!GRL JapanでUSB PDのテスターの製品を担当している浦邉です。
今回は、USB PDの効果的なデバッグ方法について、3回の連載でお届けしたいと思います。初回の第1回目の記事では、GRLのUSB-PD-C2を使用して、効果的なデバッグ方法をご紹介します。
USB PDと謳っている多くの製品は、18Wや30W、45W、60W、100Wなど、さまざまな電力タイプの製品がラインアップされています。それらの製品を効果的にデバッグするには、測定器の存在は欠かせません。今回使用する機材を紹介します。
こちらの機材は、USB PDに関するあらゆるテストが可能なテスターです。USB PDのコンプライアンステストをはじめ、最新のテストスペック(CTSって呼んでます)にも日々追従しております。今回紹介するのは、C2が持っている機能の「ほんの少し」だけなのです。USB PDに関わっており、まだこの機材を持っていない方には、超オススメです。ご購入検討の際は、ワタクシ(浦邉)までお見積もり依頼のご連絡をお願いしますw
図1:GRL USB-PD-C2
詳しく知りたい方は、まずこちら(製品ページ)へ。
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もちろん、すぐ購入したい方は、もちろん大歓迎でございますw
こちらは、C2と一緒に使用するソフトウェアです。有償のサブスクリプションですが、使える機能が多く、コンプライアンステストでは実行できないテストが可能です。例えば、長時間のエージングやテストのオートメーション化、過電流保護評価など。
こちらも、詳しく知りたい方は、まずこちら(製品ページ)へ。
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もちろん、すでにC2をお持ちで、すぐ購入したい方は、大歓迎でございますw
図2:C2とPSP
こちらは、PSPを購入するとついてくるボードです。C2の拡張コネクタに挿入して使用します。これが、とんでもなく便利な代物です。今回のメイントピックでもあるので、この後ご紹介します。
図3:Snifferボード
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もちろん、すでにC2をお持ちで、すぐ購入したい方は、大歓迎でございますw
はい、何回も催促したので、ワタクシ的には、十分満足です(笑)。
さぁ、本題に入りましょう。効果的なデバッグ方法ということで、ある程度デバッグ経験があるということが前提にはなりますので、まず初めはどのようなステップがあるかおさらいです。
これを見ただけで、線を繋ぐのも面倒な感じがしてきますね。実際にやると、こんな感じでスペースも広く取ってしまいそうです。
図4:USB PDを測定するために必要な機材例
ターゲットボードであるDUT(Source、Sink)にそれぞれつなぐと、ちょっと気が遠くなりそうです。
そこで、今回ご紹介するのが、こちら
図5:C2とPSP付属のSnifferボード
です。
長く引っ張ってすいません。
それだけ簡単にできるできるのです。
コレだけあれば、上記に挙げた測定器は不要です。
まずは、初めてC2を使う方に向けた説明です。
動画1:はじめてのC2。つなぎ方編。
付属の電源を繋いで、パソコンとはEthernetでつなぎます。最近のパソコンは、Wi-Fiで繋がることが多いと思いますので、有線LANの設定は、C2と同じドメインに変更するか、C2のIPアドレスを変えましょう。
USB PDは、VbusおよびVconnと言われる電源ソースとCC1/CC2と呼ばれる通信ラインを使用したプロトコルになります。そして、USB Type-C®︎ PDは、USB Type-Cのコネクタを使用前提としたコネクタとケーブルの規格でもあります。
図6:Type-Cケーブルとコネクタのピンアサイン
このType-CのVbusとVconnの信号を引き出して計測するのも案外難しいものがあり、変換基板などを使用し、Type-Cからの信号を引き出さなければいけません。
そこで、GRL-USB-PD-C2を使うことで、実際に使っているUSB Type-Cのケーブルで繋ぐだけです。
動画2:USB Type-C®︎ケーブルを挿すだけ。
これだけで、USB Type-C®︎ PDの可視化が行えます。その様子を見てみましょう。
充電器は、ACコンセントに差し込んでください。
次に、PSPのソフトを起動して、Port As A Sinkを選択します。
動画3:充電器をテストしている様子
「Get PD Capability」を選択し、PDOを読み込みます。
ちなみに、APDO(PPS)にも対応しています。
確認したいPDOを選択し、スタートボタンを押します。
5VによるPD Contractから9Vへ電圧が変化する様子が分かるかと思います。
つぎに、電流を増やしてみましょう。電流値のスライダーを上げていくと、電流値および電力のグラフが変化していくのが分かると思います。このように簡単に、電圧・電流・電力の可視化ができるようになります。
動画4:Sink側の電流をマニュアルで変えている
ちなみに、2ポート同時に計測することもできます。
こちらの動画では、2ポート同時に50Wづつ引き込んでいる時の様子をご覧いただけます。
動画5:2ポートとも、50W引き込んでいる様子
全ての機器が、USB Type-C®︎ PDの規格を満たしてはいないのですが、充電はできるチャージャーです。そのような機器でも動作の可視化が可能です。
動画6:ロゴ規格が取れていない充電器も評価できる。
こちらは、USB Type-Aの動きです。いわゆる一般的なUSB Aの充電器ですが、変換ケーブルを使用することで、簡単に可視化できます。今回使用したのは、ワイヤレス充電器の例です。
図7、8:ワイヤレス充電器のVbus電流で評価する。
この写真では、iPhone8を使用。
このように、USB Type-C®︎ PDの機器が主な対象ですが、そうでない機種も変換ケーブルなど使用することで、C2とPSPで電圧・電流・プロトコルも確認することができます。
動画7:ワイヤレス充電の様子をSniffer Modeで可視化する。
外部機器との連携も可能で、こちらの赤外線カメラと併用すると、温度も一緒に計測することもできます。
図9:赤外線カメラと充電器の様子
動画8:赤外線カメラの接続と、PDの挙動をモニターしながら温度計測をする様子。
欲しくて我慢できなくなってきた方はこちらまでご一報くださいw
USB PDは、100Wまでの電力を扱える規格です。万が一事故になれば、火災の原因にもなり得ます。そうならないようにするためには、十分な評価を行う必要があります。
そもそも、火災の原因の一つに過電流があげられます。一般的には、過電流が発生した場合は、それ以上の電流を流さないようにするための保護回路が内蔵されています。これをOCP(Over Current Protection)といいます。
C2とPSPを使用することで、OCPの評価ができるようになります。使用方法もとても簡単です。
DUTを接続して、PSPのメニューからOCPを選択して、実行するだけです。
動画9:OCPの評価試験の様子と、レポート機能。
このテスト項目は、各PDOに応じた電圧と電流に対し、100%から何%までの負荷を与えるとOCPが働くかを評価し、レポート出力も行えます。
例えば、MacBookに付属する充電器の場合は、概ね140-160%の負荷まで対応しています。これは、150%くらいの負荷がかかると、自動的に電源をShutdownするということです。
いつまでもShutdownしないと、過電流が流れ続け、本体の基板が破損してしまうことにつながります。保護回路がなければ、過電流が流れ続け、焼き切れてしまうことで火災の原因の一つとなる可能性もあります。
それを避けるためのテスト項目になるので、しっかり評価しておく必要があります。
事故を起こしてからでは遅いのです。
事故を起こしてから、C2を導入していただくよりは、事故を起こさないためにC2を導入してもらうのが一番安全です。
車載機器だけでなく、多くの産業機器は機能安全の要件が必須となります。電源の保護も機能安全のうちの一要因となりうるのではないでしょうか?
ワタクシの連載記事第1回目ですが、USB PDの効果的なデバッグ方法のうち、C2とPSPを使用した評価方法を取り上げてみました。この組み合わせ、まだほんの一部を紹介したまでですが、他にも多くのことができます。興味が湧いたり、詳しく話を聞きたくなったり、すぐに欲しくなったらご連絡くださいw
こちらからC2やPSPのお見積りを受け付けてます。
お待ちしております。
次回は、品種の多い方や量産時には欠かせない、複数の製品を効率よく評価するための秘密兵器をご紹介します。ご期待ください。
本日紹介したのは以下のテスターです。
そのほか認証試験サービスについてもご相談承っております。