今回は、最近目まぐるしくアップデートされるUSB仕様やパワーデリバリ仕様で、仕様書の中に詳しく記載がないスピードとロゴの関係や、製品カテゴリ、呼称などについて補足します。
目次
先日もUSB Webセミナーを開催させていただきましたが、最近新たにUSB4スペックがリリースされました。USB4では40Gbpsのスピードがサポートされます。USBも5Gbpsを迎えてから、10Gbps、20Gbpsと速度を上げ、短期間のうちに下位互換を維持しながら高速信号がアップデートされています。そういった中でスピードと呼び方の関係がわかりづらいという声をたくさんいただきますので、ここに一度まとめてみました。将来的にはUSB-IFの意向によって集約されたり、変更されたりといったことがあるかもしれませんので、2020年6月時点の内容であることを前置きしておきます。
速度とロゴの種類について
※USBロゴはUSB-IFの商標登録です。ご利用に際してはロゴ契約を交わす必要があります。
Package Logo
それぞれの速度に応じてそれぞれの パッケージロゴ が用意されており、USB認証試験に合格するとそのロゴを製品パッケージに使用しても良いことになります。
Trident Logo
ケーブルおよびコネクタポートで使用されるトライデントロゴがあります。
このトライデントロゴはUSB2.0仕様を対象としたケーブル/コネクタであれば”USB認証試験なし”でご利用いただくことができます。USB3.2仕様以降のケーブル/コネクタでこのトライデントロゴを使用する場合は、表のように速度に応じたトライデントロゴがあり、“USB認証試験に合格”する必要があるので、注意が必要です。
Type-C® Charging Logo
最近では表の一番右端にあるような チャージングロゴ も加わっています。ホストエンドプロダクト、ケーブル/コネクタアッセンブリ以外の製品でType-C® 仕様およびパワーデリバリ仕様を満たしている製品でUSB認証試験に合格することで利用できます。
パワーデリバリの製品カテゴリについて
つづいてはパワーデリバリで一般的に使われているカテゴリと呼称を紹介します。パワーデリバリでも製品カテゴリによってサポートする機能が違ってくるため小項目単位でテスト項目が異なります。以下のリストにある製品タイプで分けられますが、ここでは私共が普段つかっているカテゴリと呼称を紹介します。
Power Brick
パワーブリックは、Type-C® コネクタから給電できる製品を言いますが、給電元はコンセントが主です。
Power Bank
パワーバンクは、給電機能と受電機能をもつモバイルタイプの充電器を言います。
一つのType-C®ポートで需給電できる製品もあれば、給電する場合と充電する場合とでポートが別々の製品もあります。
Car Charger
カーチャージャーは、車載のソケットに装着して給電する製品を言います。PD認証ではパワーブリックに含まれます。
Power Charger
パワーチャージャは、パワーブリックやカーチャージャーとほとんど同じです。給電機能を持った製品全般を言います。
Assured Capacity
アシュアードキャパシティは、それぞれのポートに対して安定的に電力供給できるデバイスを言います。それぞれのポートで宣言した電力で動作し、他のUSBポートの使用状況に左右されません。
Power Shared Capacity
パワーシェアードキャパシティは、アシュアードキャパシティとは逆に、電力供給元からそれぞれのUSBポートで分割して電力をシェアするデバイスを言います。パワーギャングという呼称もあります。
例えば全体で65Wを供給できるチャージャがあったとして一方のUSBポートで40Wを使用しているとすると、もう一方のポートでは25W以上で供給できないということになります。
今のところこれらの言葉について言及されている公式ドキュメントはないと思います(おそらく)が、もしかしたらそのうち定義されるかもしれません。また、市場やトレンドの移り変わりの中でその呼び名や使われ方は変わっていくかもしれません。
ロゴは一目でアピールできる!
USB2.0ハイスピードの時代はそこそこ安定して動作していたように思います。それなりに市場も成熟していました。モバイル製品が普及していくにつれ、コネクタは小さくしかも機能はホストもデバイスもプロトコルの種類もパワーもということになってきましたから、その機構、機能は複雑かつ難しくなっています。そのため物によってはつながらない、動作しない、こっちとはつながるけど、こちらとは動作しない、などという現象も起きます。
わたくし共は少なくともこういった情報に触れる機会がありますが、エンドユーザや一般消費者の方はどうでしょう。たくさんある製品の中から何を選んでいいのかわからない。買って失敗しないのか。など多分に迷うのだと思います。自分もですが。そういった中でも、このパッケージロゴがついている商品を見つけたら第三者の認証機関でテストされたものだとわかります。われわれ技術者は高速信号に目を向け物理層を気にしがちですが、USB-IFは相互互換を重んじています。物理層の試験だけでなくリンク層やプロトコル、インターオペラビリティと言われる互換性テストまで最大負荷をかけた状態で実施することがコンプライアンスプログラムの要件として含まれています。
パッケージロゴがあるだけで安心や信頼を得ること、企業努力をアピールすることができること、他製品との差別化をはかるためにも必要になってくると感じています。
しかしながら、コネクタの機構、機能が複雑化していく中で、テストもまた多様化し、項目数もType-C®コネクタに変わっただけで倍以上にも増えています。また専用のテスターでないと、Type-C®ポートに関する項目は網羅しきれません。ではどのように解決していけばいいのでしょうか?
GRLでは1台で開発やテストをお手伝いできるツールや、評価を実行できるソリューションを用意しております。
皆様の理解と今後の開発時に少しでもお役に立てれば幸いでございます。
USBの認証試験等についてのご質問やご相談、お見積もりも承っておりますので、お気軽にご連絡ください。
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