こんにちは。GRLの永田と申します。GRLでは、HDMIやDP、SIなどを中心に、測定業務に従事しています。前回NEWS LETTERに続きまして、計測のノウハウ及び計測“あるある”の第2回目はオシロスコープトリガについてご説明をさせていただきます。
- 第1回:クロストーク解析
- 第2回:オシロスコープトリガについて
- 第3回:評価の中で注意が必要なことや、業務に役立に立てていただける内容での記事を予定しています。
(もしこんな記事が読みたい!!といったリクエストがございましたらこちらまで是非ご連絡ください。)
第2回:解析の必需品!オシロスコープのトリガについて
オシロスコープを使用している皆さまにとって、トリガは絶対欠かせない操作だと思います。そんな身近なトリガですが、現在のオシロスコープには様々な種類のトリガがあることはご存知ですか? まさか、エッジトリガとレベルトリガしか使ってない...なんてことはないでしょうか? GRLのテストサービスでは、より多くのトリガを駆使し、なかなか捉えられない信号を捉える技術に長けているんですよ。
ということで、今回はトリガの話なので、早速、実際にトリガを使用してみましょう。
エッジトリガ
エッジトリガは、波形の立上りエッジ、立下りエッジ、両エッジにトリガを掛けて波形を表示させるトリガモードです。
最も使用頻度が高く、すべてのオシロスコープには、この機能が搭載されています。購入したばかりのオシロスコープの設定では、デフォルトで設定されているトリガ機能です。
パターン・ステートトリガ
次にご紹介するのが、「パターン・ステート・トリガ」です。このトリガーモードは、オシロスコープに入力される全チャネルの波形に対し、指定した状態の波形にトリガを掛けて、波形を表示するモードです。もちろん、任意のチャネルのみの指定も可能です。
この例では、CH1からCH4の順番に「1」「0」「1」「0」をトリガ条件として指定し、波形を観測したものです。これは、各チャネルの後ろで値が変化している条件から、さかのぼってトリガの値を指定されている波形を捉えています。
CPUとメモリ間のデータバスやアドレスラインなどDATA VALIDになる区間の測定などに効力を発揮します。
このトリガを使うことで、各チャネルのセットアップ時間やホールド時間の計測ができるため、基板レイアウトなどのパターンによる遅延などの原因解明に威力を発揮します。
どうです?すごいと思いませんか?
GRLに試験サービスを依頼すると、こんな事もわかっちゃうんです。
では、次のトリガーモードについてのお話したいと思います。
シリアルトリガ(Keysight Infiniiscan)
このシリアルトリガ機能は、すべてのオシロスコープにはないと思いますが、一部の機種には搭載されている便利な機能です。例えば、シリアル通信の連続したパターン(この例では、1010111)を指定し、シリアルの波形にトリガを掛けてその波形を表示させます。
すごいと思いませんか?
このようにピッタリ波形を観測するのは、案外難しいです。もしや、エッジトリガの「Single」を連続押しして、まぐれで波形取ったりしていないですよね?(とかいう私も、たまにそれやります。これこそが、トリガあるあるネタかもしれないです。これを読んでいるみなさんも、同じことしたことあると信じてます(笑))
とくに、このようなシリアル系のデータは、データの並びでトリガをかけられれば、ボードだけでなく、ソフトウェアのデバッグも非常に効率が上がります。最近は、組込みシステムでもセンサーや通信機器の多くは、I2CやSPI、UARTといったシリアルインタフェースが使われています。
ぜひ、この機能を使って、デバッグしてみてください。一発で波形をキャッチしちゃいますよ。
最後にご紹介する、高度なトリガーモードです。
これが使いこなせれば、一流ですよ。多分w
ゾーン・クオリファイ (Keysight Infiniiscan)
ゾーン・クオリファイトリガーは、図のようにオシロスコープの画面で四角形の範囲を作り、波形の通過の可否を選択出来ます。範囲は最大8個まで指定出来ます。
一瞬怯むくらい、難しそうに感じますが、思っているほど難しくはありません。直感的に使え解析の際には非常に有用な機能です。これも、先程のマニュアルトリガあるあるで、お伝えした通り、この機能がなければ、間違いなくオシロの「Single」ボタンを数十回、数百回と連打するに違いありません。ようやく目的の波形が得られても、勢いでもう一度「Single」を押してしまうことも...ありますよね~。大丈夫です。みんな経験しています。まぁ、それは置いといて、このゾーントリガを使用することにより図のように一発で目的の波形を得ることが出来ます。ランダムパタンの似たような波形を得たい場合にも有用です。
これはもう使うしかないですよね?
もし、この機能を持っていないエンジニアの方!ぜひGRLへお声がけください。
私、永田があなたの捉えられない波形をキャッチしてみせます!
ご用命は、GRL永田まで!
さて、今回は、一般的なオシロスコープに搭載されているトリガー機能から、もしかすると機種依存するようなトリガー機能の一部をご紹介させていただきました。
GRLでは、様々な測定器を使用していますが、今回はKeysightのオシロスコープを中心に解説させていただきました。
今回は、使用頻度が高いトリガを一部ご紹介させていただきましたが、他にも沢山の種類のトリガが用意されています。普段使用されているオシロスコープのトリガ種類を確認すると、新たな方法で波形を捉える事が出来るかもしれません。
製品に関するご質問やご相談はお気軽にどうぞ。