皆さまが開発製品の最終評価を行うときに、世の中で出回っている実機との接続で動作を試したいとか、思ってますよね?まさか手元にある自分のPCやデバイスと接続してオーケーとか言ってませんよね...? まぁそれはそれで確認しないよりはマシですが。
そう、インタオペラビリティ(IOP)の課題。それは、多くの端末を用意すること。1台数万円から10万円以上もするスマホやPCを豊富に用意する事は決して容易ではありません。
その試験をすることになったとしても、労力の割には対価も安く、意外と時間も費用もかかります。
敢えて言わせてもらいましょう!このような非効率なテスト手法をいつまでも続けるのでしょうか?と。
少なくとも、PASS/FAIL判定を行う際には、その基準値が存在します。その基準値前後での特性評価および制御を目指すことが、技術的かつロジカルな戦略だと言えます。また、動けばOK的な試験であれば、数多く揃える必要もあるかどうかは疑問です。それこそ、デバイスの開発環境でいくらでもエミュレーション可能であり、過去のOSのバージョンから最新のものまでいくらでも用意できます。これはAndroidやiOSの端末に限ったことでもなく、WIndowsやMac、Linuxにも同じ事が言えます。実機による違いもある事は理解できますが、I/Fの規格やプロトコルが存在している限り、それを逸脱する事は基本的にないと考えても差し支えないでしょう。それを逸脱している製品があれば、その製品に問題があると言えます。
IOP試験では、たまたまその実機で動いた実績があったとしても、ロットで動きが異なることなども想定内であるにもかかわらず、実機による動作の信頼度は、もはや迷信的ではありますが、その信者は未だに多いものです。
実際、このような試験手法で絶対的な安心感など微塵も感じる事はありません。たまたま動いただけです。
このような技術的背景や迷信的な手法がいまだまかり通っている現状はありますが、GRLとしては実機端末の代わりになる手法を導入する事で、より効率的にIOPを実現することを目指しています。
効率的なIOPを目指しているGRLですが、特に注目しているのは、USB-PDです。USBーPDは扱える電力が大きいので、誤った使い方をすれば、高価なPCも、貴重なデータがたっぷり入ったスマホも簡単に壊れます。よもや発煙や発火の事案にもなりかねません。
そのような規格のデバイスは、IOPの前に十分な検証が必要です。認証ロゴがが存在する試験では、仮にロゴ取得が必須でないとしてもそれ相当の試験をしておかないといけないと理解すべきです。
GRLでは、ロゴ取得サービスはもちろん、ロゴ認証相当の電気試験サービスも行っているので、安心して試験依頼をして下さい。また、後述するUSB-PDのテスターであるC2を導入する事で、いつでもロゴ認証試験相当の確認ができるようになります。
さて、PDのエミュレーションの話をする前に、GRLの考え方がお分かりいただければ、ここから先は気軽に眺めてもらって構いません。
例の如く、C2とPSPを使った検証方法を解説します。
今回は、デバイスのエミュレーション機能です。PDのSink側デバイスとして、30種類の端末、PDのSource側デバイスとして50種類のチャージャーを用意しています。実機で揃えると150-200万円相当のデバイスが、わずか年間30万円で利用できます。月額だと3万円。破格です。3万円だと、ハイエンド機のスマホも買えません。
気になる挙動ですが、PD コントラクタ(USB PDで接続するためのセッション)が成立すれば、利用できます。そもそも、この段階で正しく動いていないのであれば、何もテストはできません。
では、早速その様子を見てみましょう。
PSPの使い方は、こちらの回で解説していますので、Emulator(Beta)機能について解説します。
Emulatorモードは、上記で説明しているとおり、C2をSinkデバイスとして見立てたり、C2をSourceデバイスとして見立てる機能です。ただし、2portもっているC2ですが、Emulatorモードのときは、Port1のみ有効です。
従いまして、検査対象デバイスは、Port1にPDの充電器をつないでください。
C2がエミュレートするデバイスを選びます。
仮に、「Macbook」を選んでみましょう。
接続されているのが、充電器なので「Get Capability」で充電器のPDOを表示します。
表示されたら、「スタート」ボタンを押してください。
使用しているPDOの番号がハイライトされ、右側のWindowに電圧・電流・電力が表示されます。
簡単ですよね?
他にも多くのデバイスがあるので、PSPのライセンスをお持ちであれば、是非試してください。
次に、C2をSourceモードで動かしてみましょう。
今度は、Port1にSinkデバイスを繋いでみましょう。一番わかり易いのが、スマホやPD対応のモバイルバッテリーなどがいいでしょう。
Sourceモードは、C2に充電器の代わりをしてもらう機能です。こちらは、通常のPDOだけでなく、APDO(PPS)も対応しています。
まずは、PDOを指定してみましょう。Sinkデバイスをつなぐと、お互いのPDOが表示されます。
Sourceは使いたいPDOを選択して、「スタート」ボタンを押すと、電圧と電流をSinkデバイスへ流し始めます。
スマホの画面に「充電中」のマークが表示されていると思います。
このように、実機がなくてもPDとしての動作検証に十分効果を発揮するツールに仕上がっています。
ここまで読んでも実機じゃないからとモヤモヤする方もいるでしょう。それであれば、実機を購入して、テストしてみるのがいいと思います。何から何まで用意する必要がなく、エミュレータで確認後、実機での評価を行い、それで少しでも安心すればそれでいいと思います。安心するための試験ですからね。
C2とPSPがとても気になって仕方ないあなたは、こちらからお問合せください。
USB PDの規格について、もう少し詳しく知りたいあなたは、こちらにお問合せください。
さて、気まぐれ開催しているTwitter質問です。
Q。USB PDの試験を最低限行うのに必要な組み合わせは、次のうちどれでしょうか?
(4択です。)
1)PD3.0のみ
2)CC EngineとDeterministics
3)1)+2)
4)3)+Source Power Test
どしどしご応募待ってます!