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デジタルインターフェースの進化と未来 | GraniteRiverLabs

作成者: GRL Team|2021/08/10 16:54:00

Granite River Labs, GRL
Alan Chuang 莊益林


エレクトロニクス製品におけるデジタルインターフェースの進化は、消費者の利便性をますます高めています。 初期には各メーカーによって独自のハードウェア・インターフェースが使われていましたが、現在では各主要団体を中心に、共通規格が策定され、必要な機能を選択的に使用することができるようになり、各市場/アプリケーションに応じて柔軟に製品への採用することができるようになりました。 ここでは、デジタルインターフェースの進化と今後の動向について見ていきたいと思います。

 

映像・音声伝送インターフェースの進化

コンピュータが普及していなかった時代には、RCAピン端子やアナログ信号用のS端子などのビデオインターフェイスとして使われていました。1990年代のコンピューターの発達に伴い、 コンピューターディスプレイ・インターフェースとしてVGAが使われるようになりました。しかし、市場からの高解像度や高い映像品質の要求により、アナログ信号からデジタル信号を取り扱える新しいインターフェースが求められるようになりました。 HDMIはTVやビデオプレーヤー、ゲーム機などの映像・音声の伝送用途を目的に、Silicon Image、ソニー、東芝、テクニカラー、パナソニック、日立製作所、フィリップスの共同で2002年に策定されました。 これとは別に、VESAはコンピュータとディスプレイとの接続を主たる目的としたDisplayPortアーキテクチャを2006年に提案しました。

高解像度、高リフレッシュレート、ディープカラーの要求により、取り扱う信号の高速化が求められてきました。 VESAからデータ帯域32.4GbpsをサポートするDisplayPort 1.3が登場すると、HDMIは、2017年にHDMI 2.1 (48Gbps) を発表しました。 それに対しVESAとUSB-IFは、インテルのThunderbolt技術の取得後、USB Type-C® インターフェースで80GbpsをサポートするDisplayPort 2.0 を発表しました。 最大16K@60Hzまでの映像伝送とUSB4®データストリームデータの同時転送ができることから、コンピュータ周辺機器で広く使われるようになりました。 しかしTV分野では、DisplayPortの採用は、エコシステムおよび主要構成メンバーの違いから大きく進んでいません。

図1 映像/音声インターフェースの進化

 

伝送インターフェースの開発

次に、技術の進化を別の視点から見てみましょう。下図からわかるように、伝送速度の高速化ではPCI Express®(PCIe)がリードしています。 過去20年の電子機器開発において、PCIeは、主たるCPUやGPU、あるいは各種コアプロセッサの外部伝送バスとして使用されてきた。 ICの設計能力の向上と半導体プロセスの進歩により、1レーン2.5GbpsのPCIe1から1レーン64GbpsのPCIe6へと進化してきました。しかしPCBの材料は徐々に量産時の物理的限界に達しており、送信側と受信側の補償機構、例えばPre-amp, Pre-shoot, amplitude negotiation, CTLE, FFE, DFEなどの技術により、基板材料とケーブル材料の損失をカバーしているのが実状です。  

また、SATAやSASなどのストレージ・アプリケーション・インターフェースは、PCIeに直接置き換えられつつあります。 SSD設計を採用する製品が増えるにつれ、PCIeは他のブリッジを使用せずにICと直接接続できるため、設計をより簡素化することができます。 

さらに、ThunderboltUSBDisplayPortなどのインターフェースをUSB Type-C®に統合することができます。インターフェースの統合により、エンドユーザーにとって、画像、音声、データ、制御、電源の統合が非常に便利になります。しかし、ICや製品の開発者は、性能と互換性の検証に多くの時間を費やす必要があります。

品質と互換性を確保することは、協会や認定ラボの使命です。

図2 高速データ伝送インターフェースの進歩

 

インターフェースの今後の展開といえば、ネットワーク通信の要であり、技術的にもデジタルインターフェースの最先端を行くIEEE802.3が知られています。 下表に示すように、イーサネットの伝送速度は最大112Gb/sに達しており、単にNRZアーキテクチャで1ビットずつ伝送するだけでは不十分で、PAMアーキテクチャを採用しています。 PAMアーキテクチャを用いれば、2ビット以上同時にデータを伝送することが可能です。周波数を上げずに、電圧振幅の違いで伝送データ量を増やすことができ、データプロトコルはその下のアーキテクチャの影響を受けることはありません。以上のような特徴から、今後のインターフェースのトレンドとなるでしょう。 上記のUSB4とDisplayPort 2.0をThunderboltに応用する技術についても、、伝送速度10.3125Gb/sと20.625Gb/sのThunderboltのCIO(Converged-IO)プロトコルを知っていれば、デバイス識別にIPと似た概念を用い、Tunnelingモードですべてのデータ型を区別せず読み込んでいることが理解できます。 これらはすべてEthernetの技術に似ています。 これは、Data Centerに使われている技術が最も進んでいることを示しています。 成熟しコストが下がれば民生機器に適用されるでしょう。


表1 インターフェース別伝送レート

クラウドデータベースの急速な発展により、ほとんどの端末製品は強力な機能を必要とせず、ビデオ録画、写真撮影、画像やオーディオ再生と受信に十分な処理能力があればよいと予測さます。 大量のデータ保存と計算能力はデータセンターで実現するため、データセンターの有線・無線ネットワーク通信能力は、より高いものが要求されます。 ますます多くのクラウドアプリケーションと大量データのインテリジェントコンピューティングに対応するために、量子コンピュータ技術の開発や6Gスターチェーンといったハードウェア技術の急速な成長が必要となります。 もちろん、それに伴うネットワークセキュリティのハッカーの問題も重要な懸念事項の一つです。

図3 高速インターフェースの発展

 

著者
Alan Chung、 General Manager of GRL Greater China
計測器業界で7年以上のサービス経験を持ち、様々な伝送インターフェース技術やアプリケーションに精通している。 Alan Chuangは、現在GRL Greater Chinaのゼネラルマネージャーとして、中国大陸と台湾にある3つの研究所の事業展開と将来の開発目標についての責任者です。

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