GRL-WP-BST-C3は、ワイヤレス充電器向けのテスターとして、WPCに正式認可されたテスターです。
Webサイトからできることなどそれなりに情報は得られますが、実際どうなんだろう?と思われるお客様も多く、今回は動画でその使用感のレビューを行ってみたいと思います。自社の製品だから公平じゃない?と思われる方も、昼休みや休憩時間にチラ見してもらえれば本望ですw
ワイヤレス充電のマーケットは、Apple社のiPhone8に搭載されてから徐々に広がりを見せています。iPhoneシリーズに限らず、Samsung社のGalaxyや、Google社のPixel Phone3からワイヤレス充電が採用されています。
最近では、iPhone12から搭載されたMagsafeのワイヤレス充電のしくみが、ワイヤレス充電の弱点である充電のスイートスポットを確実なものとし、市場が拡大しています。
またワイヤレス充電の規格は、5WであるBPP(Base Power Profile)をはじめ、15WであるEPP(Extended Power Profile)が台頭し、充電性能が向上しています。有線の充電であるUSB Power Deliveryほどの充電能力ではありませんが、それに近い充電性能を持つことも遠い未来の話ではありません。
GRLのワイヤレス充電向けテスター
GRL-WPC-BST-C3で得られる3つのメリット
メリット1 無線の波形が見える
ワイヤレス充電は、無線電力のため、送信電力や受信電力が見えません。もちろん、プローブにより伝送波形を見ることはできます。GRL-WPC-BST-C3であれば、充電器から出力されているトランスミッターの送信波形電圧および電流と電力がわかります。
メリット2 プロトコルも可視化
有線でさえ、プロトコルのモニターを行うには機器間に信号を抽出するメカニズムが必要になります。安全で安定した無線充電を行うために、正規のプロトコルに従った確実な通信を行うことが必要です。GRL-WPC-BST-C3は充電器とテスター間の通信をモニター・検証が行える、安全で安定した製品設計のための強力なツールです。
メリット3 コンプライアンステストができる
GRL-WPC-BST-C3 は、WPCで公式に認定されたコンプライアンステストツールです。ボタンをクリックするだけで、Qi規格のベースステーションのコンプライアンステストを実行できます。規格を確実に遵守することは、安全な製品の最低条件です。GRL-WPC-BST-C3を使えば、実験室で製品が規格に適合しているかを簡単に確認できます。認定ラボに持ち込んで、Failをその場で直すと言った作業から解放されます。
Qiテスター「GRL-C3」の誕生背景
こんなこと書くと気分を害する人がいると思いますが、正直な話、そんなに反響ないと思っていたんです。
なんでかというと、スマホ関連グッズでワイヤレス充電のコーナーは見かけることも多いのですが、ワイヤレス充電の規格に合格するのは結構大変であると聞いていました。
また、主に台湾や中国で製品化したものを購入しているお客が多いと聞いていたので、日本ではあまりニーズがないと思っていました。
ところが、思いのほかいろいろな話をお聞きする機会があり、状況は様々ですが、ニーズはあるのだなと感じていました。
そこで、今回は弊社のGRL-C3の使い方を、簡単にご紹介させていただこうかと思います。
ワイヤレス充電に興味が少しでもある方にお役に立てれば幸いです。
まず初めに、GRL-C3でできることを書いておきます。
・WPCのコンプライアンステストが実施可能。
・充電器のみが試験対象。
・FODも、温度も計測可能。
ざっくりいうと、こんな感じです。
ワイヤレス充電の規格について
ワイヤレス充電には、2つの規格が存在する
ワイヤレス充電は、大きく分けると「Qi規格」というものと、「独自規格」が存在します。
独自規格とは、電動歯ブラシやちょっとしたワイヤレス充電の類です。これらは規格が存在するかといえば、存在はしていません。
一方の「Qi規格」は、WPC(Wireless Power Consorsium)という団体が仕様を管理している規格となっています。
Qiの規格は、2種類に分類されている
Qi規格は、こちらも大きく分けて2種類に分類されています。BPP(Basic Power Profile)と呼ばれているものと、EPP(Extended Power Profile)と呼ばれています。
BPPは、5Wまでの電力を扱えることができます。EPPは、15Wまでの電力を扱うことができるようになっています。細かいところでは、独自に拡張して、9Wとか10Wとか12Wなんていう製品もちらほら見かけます。
さらに、これらの規格はバージョン管理されているのが一般的ですが、現在v1.2.4からv1.3への移行時期もあり、製品開発しているメーカー様にとっては、非常に混沌としているのではないかと察しております。
大体どんな規格であるかは、ざっくり理解いただけたのではないでしょうか。
テスターがなぜ必要なのか?その原理を少し紹介
さて、なぜ弊社のようなテスターが必要なのでしょうか?それはワイヤレス充電という仕組みそのものの難しさから来ていると考えられます。
ワイヤレス充電は、コイルを介在した電磁誘導を利用した充電方法です。基本的原理を簡単に触れておきます。
二つのコイルがあり、1つのコイルに電流を流すと、磁界が発生します。2つ目のコイルは、1つ目が出した磁界により電流が発生します。その電流に、抵抗を介することで電圧が発生します。コイルに流れる電流を制御することで、非接触にも関わらず電気だけでなく、通信も同時に行っています。
Qi規格におけるワイヤレス充電の基本原理を図にしてみました。
常時電流を流し続けると、コイル自体も発熱するため、発熱しすぎると、製品自体の劣化を招きかねます。
このように、思いのほか原始的な仕組みに多くの新しい仕組みが組み合わされて利用されています。さらにその状態を計測するということは、実はあまり易しくありません。
こういった背景があり、弊社のGRL-C3が注目されていると言えます。
※参考までに、その筋の方達にとっては、Nok9という会社のテスターが存在することは周知の事実ではありますが、かなり高額な機器のため、そう簡単には手が出ないというのが現状です。(2022年3月現在)
今回は、ここまで。また続きは、後日お送りいたします。
お楽しみに!
浦邉
GRLでは、ワイヤレス充電だけでなく、USB Power Delivery、ケーブルテスターなど、身近な製品品質をサポートするテスター機器を取り揃えております。
ぜひお気軽にご相談ください。
また、インターフェース試験評価、エンジニアリングサービスも承っておりますので、合わせてご相談ください。