Granite River Labs, GRL
Stanislas Charles
Matter 1.1アップデートがデベロッパーとメーカーにもたらす影響
2023年5月18日、Connectivity Standards Alliance(CSA)は、オープンソースのスマートホーム規格Matter 1.1アップデートを発表しました。Matterバージョンは、バッテリー駆動の間欠接続デバイス(ICD)のテストやデバッグ時に、より多くのサポートを受ける方法を導入することで、デバイスメーカーや開発者の設計プロセスを合理化する多くの改善をもたらします。
Matter 1.1 の主な目的は、デバイスメーカーやデべロッパのプラットフォーム導入を簡素化することです。このバージョンで導入されたアップデートは、包括的なツールとリソースを提供し、Matterを初めて利用するメーカーの参入障壁を下げることで、開発から市場投入までの流れを早めます。この認証プロセスの迅速化により、製品の発売サイクルが短縮され、ユーザーはMatter互換の幅広い選択肢から選ぶことができるようになります。
Matter 1.1がスマートホームのエコシステムにもたらす影響
Matter 1.1 がサポートするICDは、主に断続的な接続で動作し、電池に依存しています。このカテゴリに分類される製品には、モーションセンサー、ライトセンサー、ドアロックなどがあります。また、一般的に、節電のために未使用時にスリープモードに入るなどの機能を備えています。
Matter 1.0からの改善点
以前のMatter 1.0では、ICDはスマートホーム環境内でシームレスな接続と統合を維持するという課題に直面していました。しかし、Matter 1.1では、スマートホームシステムのユーザー向けインターフェースにおいて、これらのデバイスがオフラインで表示される可能性を最小限に抑えるバックエンドの調整を導入し、この問題に対処しています。
これは、Matter 1.1がICDとの互換性を向上させたことからも明らかです。例えば、ドアロック内のスリープモードは、Matter 1.0 では最適にサポートされておらず、潜在的に接続の中断、不便さ、さらにはユーザーにとっての安全上のリスクにつながっていました。Matter 1.1で行われた調整では、ドアロックやその他のICDデバイスをスマートホームシステムのユーザー側に安全に統合することで、この問題に対処しました。その結果、ユーザーは、スマートホームデバイスが期待通りに迅速かつ一貫して応答する、信頼性が高く中断のない体験を享受できるようになりました。
Matter 1.0認証をMatter 1.1にアップグレードする
すでにMatter 1.0認証を取得しているメーカーは、Matter 1.1 にアップグレードするために再認証プロセスが必要になることにご注意ください。しかし、デバイスに新機能が追加されていない場合、メーカーはCSAが提供する「Rapid Recert Program」を利用することができます。再認証プログラムを受けることで、メーカーは時間とリソースを節約しながら、Matterエコシステムと互換性のあるデバイスを市場に出し続けることができます。さらに、メーカーは不必要な遅延なしに最新のアップデートや機能の恩恵を受けることができます。
Matter 1.1とRapid Recert Program は、デバイスメーカーに効率的で柔軟な認証プロセスを提供することで、スマートホームの発展をサポートするというCSAの取り組みをさらに強調するものです。簡素化された導入プロセスと合理化された認証により、Matter 1.1 はデバイスメーカーや デベロッパーがコネクテッドホームの世界に参入し、順応し、発展するための道を開きます。バッテリー駆動のデバイスやドアロックを含むICDのサポート拡大により、Matterエコシステムの全体的な範囲と信頼性が強化されます。Matter 1.1 のさらなる進化は、スマートホーム業界の進化とともに成長し続け、世界中でより豊かな暮らしを実現するための新たな機会を解き放ちます。
Matterと最新のスマートホーム技術標準に対応する
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著者について
Stanislas Charles
ワイヤレスおよびRFテストに7年以上の経験を持ち、Bluetooth、Zigbee、Thread、Matterなどの様々なプロトコルに精通しています。MatterやThreadのテスト要件に関する疑問や質問を解決するため、常にお客様のお手伝いをさせていただいています。