By GRL Team on 8月 25, 2021
SD,

SD 3.0 / 4.0 概要

Granite River Labs, GRL
Fred Chen 

SDカードは、デジタルカメラ、ノートパソコン、タブレットPC、携帯電話、携帯ゲーム機、電子書籍などのモバイルデバイスに広く利用されているメモリーカードの一種です。 SDカードは、小型で携帯性に優れているのが特徴です。2000年に発売されたバージョン1.01から現在のバージョン8.0まで、20年以上にわたって進化を続けています。 データ保存容量は、発表初期の8MBから現在では128TBまで増加し、データアクセス速度も12MB/sから、最高で985MB/sに達しています。 SDカードは、家電製品のメモリストレージとして市場に浸透しています。

SDカード

SDカードには容量に応じ4つの規格があります。使用するファイルシステムとSDの商標は以下の通りです。

SD Card 4 types of capacity

表1 SDメモリーカード規格

SDカードの仕様は、Ver.8.0まであります。 現在、Ver.3.01とVer.4.0が、市場で最も多く使われています。 そのため、このアプリケーションノートではSD3.01とSD4.0に重点を置いて解説します。 まず、SD 3.01とSD 4.0のデザインについて、特徴的を見てみましょう。
2010年に規定されたSD 3.01は、UHS(Ultra High Speed)-Iとも呼ばれています。SDR12、SDR25、SDR50、DDR50、SDR104のスピード区分があり、それぞれの最大転送速度は12.5 MB/s、25 MB/s、50 MB/s、50 MB/s、104 MB/sとなっています。 SDR(Single Data Rate)とは、1サイクルに1回、データ(1ビット)を取り出せることを意味し、DDR(Double Data Rate)は、1サイクルに2回データを取り出せることを意味しています。

UHS-Iでは、SDIOモードでの伝送に4本のデータライン(4ビットデータ)を使用することができ、使用するピンは1、7、8、9ピン(DATA0~DATA3)です。 4線式伝送に対応していない場合は、1線式(7番ピン、DATA0)で伝送することになります。 2番ピンはコマンドライン(CMD)で、HOSTとDEVICE間の伝送・通信に使用されます。 5番ピンはクロック線(CLK)です。詳細は以下の表2を参照してください。

 

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図1 ピンレイアウト(SD 3.01)

Pin Table

表2 ピンアサイン(SD 3.01)

SD4.0はUHS-IIとも呼ばれています。 ピン配列はSD 3.01の1列から2列へとアップグレードされています。 1列目のピンは、プリセット、高速、UHS-Iの転送モードに対応しています。 UHS-IIは、常に双方向通信を行うFD(Full Duplex)モードと、データ送受信時には片方向通信を行うHD(Half Duplex)モードの2つのモードをもっており、最大転送速度がFDでは156MB/s、HDでは312MB/sとなっています。

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図2 ピンレイアウト(SD 4.0)

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表3 ピンアサイン(SD 4.0)

UHS-I 物理層テスト

信号伝送テストでは,DATAには書き込みと読み出しによる入力タイミングと出力タイミングが規定されています。 CLKとDATAの信号を測定し、SDアソシエーションが策定した仕様を満足していることを確認します。

クロック信号のクロックスレッショルド (VCT) は0.975Vです。図4のようにVCTをよぎる点を基準点としCLKサイクルを求めることができます。入力高電圧(VIH)と入力低電圧(VIL)は、それぞれVIH1.27V~2.00V、VILはVSS-0.30V~0.58Vの範囲で設計者が設定したものを用います。 VIHとVILをスレショルドとしてCLKの立ち上がり時間(tCR),立ち下がり時間(tCF)を求めます。信号の品質は,CLK周期,立ち上がり時間,立ち下がり時間,デューティ比の測定値を規格値と比較して良否を判断します。

クロック信号のVCTを基準点として,データ信号のVIHとVILのクロス点からセットアップ時間(tIS),ホールド時間(tIH)測定します。図からわかるように,動作電圧が小さすぎたり,設計者設定したVIHやVILの値が大きすぎると,セットアップ時間やホールド時間が短くなってしまうことがわかります。 この場合,製品として論理的な整合性を識別することが困難になりますので,DATA信号の測定では,両者の関係に注意する必要があります。

圖片1 (2)

図4 UHS-I Clock (Source: Physical Layer Specification)

圖片2 (1)

図5 UHS-I Data (Source: Physical Layer Specification)

 

UHS-II 物理層テスト

UHS-IIの物理層テストは全二重モードで行われ、製品をForward / Backward Loopbackモードに切り替えることで、2つの信号ペア(D0、D1)の送信テストと受信テストが可能です。 送信テスト(Tx)では製品の送信信号の品質を確認し、受信テスト(Rx)では製品が受信信号を正しく受信できるかを確認します。
製品は通常、レンジAとレンジBの2種のデータレートで検査されます。 レンジAはCLK周波数(26MHz~52MHz)、データレート390Mbps~780Mbps(CLK周波数x15)、レンジBは780Mbps~1560Mbps(CLK周波数×30)となります。

 

(1)トランスミッタテスト

信号ペアD0をテストする場合、信号発生器からテストパターン(CLKとPRBS 2^7-1)を信号ペアD1に入力します。入力されたテストパターンはフォワードループバックモードを通してD0から出力されます。その出力信号をオシロスコープでキャプチャし各パラメータを測定します(図6)。 信号ペアD1をテストする場合,バックワードループバックモードに切り替えD0にテストパターンを入力し、D1の出力信号をオシロスコープで測定します(図7)。
表 3 に トランスミッタテスト項目と規格値を示します。 立ち上がり時間と立ち下がり時間の規格値は最小値であることに注意してください。差動電圧とコモンモード電圧ともに、一定の電圧範囲内に入っていることが必要です。 また、位相差も双方規格化されています。

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図6  UHS-IIトランスミッタテストプロセスー1

 

圖片4 (3)

図7 UHS-IIトランスミッタテストプロセスー2

 

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表3 UHS-II トランスミッタ テスト項目/規格値

 

(2)レシーバテスト

受信機テストは、正確に信号を受信できるかどうかをテストするために行われます。 信号の伝送過程では、回路や周囲の温度など様々な要因によって、信号の劣化や減衰が発生します。 レシーバは劣化した信号を正確に解釈できなければなりません。受信機テストでは、実際の伝送時の劣化をシミュレートするために、テスト信号(PRBS 2^7-1テストパターン)に、定められたジッタ周波数とジッタ量を持ったジッタを加えます。 ループバックモードを使用して受信した信号をエラー検出器に送り返します。 エラー検出器により、ビットエラーの有無を判定します。 テストでは、異なる伝送速度(390Mbps〜1.56Gbps)で、表4で示すジッタ周波数(0.234MHzと2.34MHz)とジッタ量のジッタをテスト信号に加え3*1011ビットのエラーテストを行います。

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表4 UHS-IIレシーバテスト項目

 

まとめ

SDカードUHS-Iインターフェースは、動作電圧1.8VでSDR25、SDR50、SDR104、DDR50の伝送モードをサポートしていますが、物理層テストでDATAとCLKパラメータを測定することで信号品質を確認することができます。
UHS-IIはUHS-Iの伝送モードと互換性があり、全二重信号の最高伝送速度はRange Bの状態で1560Mbpsに及びます。 物理層テストでは、製品をLoopbackモードにすることで、両信号ペア(D0、D1)の送受信テストを可能にしています。
本稿では,SDカードに関する予備的な考え方を読者に紹介いたしました。

 

 

参考文献

  • Part 1 UHS-II PHY Test Guideline Ver.1.00 Final 140714
  • Part 1 Physical Layer Specification Ver5.10 Final 161101
  • Part 1 UHS-II Addendum Ver1.02 Final 140528
  • Format of SD Specification

 

著者
Fred Chen, テクニカルエンジニア (GRL Taiwan)

GRLでの3年以上のテスト経験を持ち、Dispalyport™、SDカード、Thunderbolt Functionの関連テスト仕様に精通しています。
お客様の認証取得のサポートに加え、 GRL技術論文の執筆、講演を行っています。

 

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Published by GRL Team 8月 25, 2021