Granite River Labs, GRL
Jimmy Lin 林致均
-USB Type-C®製品がUSB-IF認証の対象となる場合、BC1.2もテストされるのでしょうか?
現在、USB-IFでは、BC1.2に対応している製品であれば、BC1.2テストを合格しなければならないと規定しています。 例えば、現在普及しているUSB Type-Cレセプタクルを使用し、Power Deliveryに対応したUSB-C充電器やノートパソコンは、BC1.2をサポートし、BC1.2テストに合格する必要があります。
Battery Charging 1.2、略してBC1.2とは、USB-IFが2010年10月に発行した仕様のことです。 通常USB2.0をベースとしたVbus電源は、最大供給電流500mAを供給することができます。 しかし、その能力では携帯電話などのポータブル機器を充電にするのに時間がかかってしまいます。 BC1.2規格では、最大1500mA(USB2.0の3倍)の電流供給能力を持っているため、ポータブル機器を従来の3分の1の時間での充電が可能です。
BC1.2はUSBのD+とD-によって検出されます。ポータブル機器とUSBホストまたはハブが共にBC1.2をサポートし、互いのBC1.2サポートを確認後、Vbusに最大1500mA電流を供給することができます。
- BC1.2対応の携帯電話を標準のUSB3ポート(SDP*2)を持つノートパソコンとBC1.2対応のUSB3(CDP*3)を持つノートパソコンに接続した場合の充電容量の違いを教えてください。
携帯電話を標準的なUSB3ポート(BC1.2非対応)でノートパソコンに接続した場合、受電可能な最大電流は900mAです。
しかし、携帯電話をBC1.2対応のUSB3を搭載したノートパソコンに接続した場合、設定しなくても最大1.5Aの電流を受電することが可能です。
注1: 携帯機器の電池がDead状態またはWeak状態の場合、仕様によらず最大受電可能電流は100mAとする(電池がWeak状態の場合は最小限のエネルギーで機器が起動でき、Dead状態の場合は機器が起動できないことを意味する)。
注2:SDP(Standard Downstream Port)とは、BC1.2非対応の標準ポートを指します。
注3:CDP(Charging Downstream Port)とは、BC1.2対応の標準ポートを指します。
一般的なUSB規格のダウンストリームポートでは、Vbusで500mA(USB2.0)または900mA(USB3.2)、BC1.2充電ポートでは1.5Aの供給が可能です。 また、BC1.2充電ポートは、USB Dataに対応したCDP(Charging Downstream Port)とDCP(Dedicated Charging Port)に分けることができます。
表1 SDP、 CDP、DCPの比較
BC1.2をサポートする携帯電話を例にとって説明します。 携帯電話は、BC1.2をサポートするSDPやCDP、DCPに接続されていることをどのように知ることができるのでしょうか。 簡単なフローを以下に示します。
図1 BC1.2検出(5ステップ)
1. VBUS Detect:
携帯電話はUSBを充電ポートに接続。 内部有効電圧閾値以上のVbus電圧を検出した場合、携帯電話が有効なポートに接続されたことを認識。
2. Data Contact Detect(DCD):
携帯電話が、接続された充電ポートがBC1.2に対応しているかどうかを検出。 D+に電流を出力し(IDP_SRC)、D-の電圧値を検出してD+/D-端子が正常に接続されたかどうかを確認する。 携帯電話がDCDに対応していない場合、一定時間後(TDCD_TIMEOUT)にStep3に入る。 DCDの利点は、携帯電話が接続に成功したと判断した後、すぐに検出のためのステップ3に入ることができるため、待ち時間を節約できることである。
3. Primary Detection:
携帯電話は接続された充電ポートがBC1.2に対応しているか、つまりSDPかCDP/DCPのどちらに対応しているかを検出する。 携帯電話はD+に電圧(VDP_SRC)を供給し、D-でVDMとVDAT_REFを比較する。
4. Secondary Detection:
Secondary Detectionは、携帯電話に接続された BC1.2 充電ポートが USB データ機能(DCP または CDP)を持っているかどうかを確認する。 携帯電話はD-に電圧(VDM_SRC)を供給し、D+でVDPとVDAT_REFを比較する。
5. ACA Detection:
ACA検出は、Micro-ABソケットを持つ携帯機器に対してのみ行わる。 ポータブルデバイスはACA充電ポートに接続されているかどうかを検出し、デバイスの種類を判断する。 主にID端子の5種類の抵抗値を検出することで判断している。
SDP detection
図3 SDP Detection
CDP detection
Primary Detection, CDP Secondary Detection, CDP
図4 CDP Detection
DCP Detection
Primary Detection, DCP Secondary Detection, DCP
図5 DCP Detection
BC1.2 テストは、主に BC1.2 の通信が正しいか、Vbus の電源品質が正しいかを確認するものです。試験項目は以下の通りです。
表3 DCP テスト項目
効率化が求められる現在、最新のUSB Type-C® Power Deliveryは最大240Wの充電に対応しています。 特にポータブルデバイスに対する後方互換性にも配慮しています。 BC1.2が定義する充電ポートは、従来のUSBポートより多くの電流を引くことができるため、より迅速な充電が可能になります。 また、BC1.2は後の急速充電技術の基礎となるものである。現在、充電機能を持つ製品は、ほとんどがBC1.2への対応を求められているます。 そのため、BC1.2の基本動作原理と試験項目を理解することで、設計時に発生する問題を軽減し、スムーズに試験に合格することができます。
参考文献
著者
Jimmy Lin, Test Engineer of GRL (Taiwan Province)
GRL Thunderbolt 3/4 および USB4® 認証テストエンジニアで、4 年間の高周波テスト経験を有しています。 ThunderboltとUSBのテスト仕様と原理を熟知しており、困難なテスト問題の解決と認証取得のために顧客をサポートしています。
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発行日 2021/06/24 AN-210624-TW